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観葉植物大敵、カイガラムシという害虫の実態と退治方法

皆さんはカイガラムシという虫をご存知でしょうか?園芸を少しでもやっておられる方はこの名を聞いただけで渋面をされるでしょう。この虫は昆虫ですが、果樹、庭木、観葉植物に着く害虫です。その仲間は数百種に及ぶといわれ、なかなかシブトク、駆除しにくいので園芸愛好家には目の敵となっています。

さて、この項では観葉植物に着くカイガラムシのお話をします。果樹や高価な庭木類に比べ、観葉植物は用途がインテリアであるあるためか、あまり農学の研究対象とはなっていないようです。でも実際にこれを扱う業者にとっては頭の痛い問題です。業者ばかりでなく、観葉植物をお買いになったお客様も困っておられると思います。こちらは原因もわからないまま植物が無茶苦茶に汚くなってゆくので、困惑度も大きいのではないでしょうか。もちろん カイガラムシについては多くのホームページでも取り上げられていますので、虫の写真や詳細な生態を知りたい方はそちらもご覧になってください。私どもは専門家ではありませんので、きちんとした解説は出来ませんが、観葉植物で日常目にする彼らの生態と、防除対策を試みに述べてみたいと思います。

(1)観葉植物で、よく目にするカイガラムシ

カイガラムシのお好み観葉植物の双璧はベンジャミンとカポックです。多くの観葉植物には多かれ少なかれカイガラムシが着き、種類も色々です。カイガラムシが着いても最初は気がつきませんが、そのうちベタベタするものが着き、湿度があると黒いすすのような物が葉を汚し気が付きます。

 
観葉植物 カイガラムシの種類 生態他
カポック (シェフレラ) 葉の表面や裏に薄黄色、黄緑のゴマ粒のような虫。種類名? 葉脈に沿って黄緑の小さな点状の虫がびっしり着く。動かない。
ベンジャミン、ガジュマル、ウンベラータ コナカイガラムシ、 コナカイガラムシは体長1~3mmの肌色の虫で白いワタのようなものにくるまれ、動き回る。それとは別に枝に小豆色の1~3mmの小豆粒のようなムシが固着。これはルビーロウムシに似ているが、名前不明
ゴム 種名不明 上記と同じとおぼしき茶色の殼をかぶった虫が葉に着く
ポトス ヒメコナカイガラムシ 長い2本の尾をもち白いワタに包まれ動き回る。新芽が好み
マングーカズラ ヒメコナカイガラムシ 同上
ドラセナ類 (幸福の木etc.) ヒメコナカイガラムシ 同上。特に新芽がお好みでここに着くと新しい葉が出なくなる。
アレカヤシ マルカイガラムシ、コナカイガラムシ マルカイガラムシは直径1mmくらいのカイガラを持ち茎、枝に固着する。これはあまり排泄液を出さない。白いワタをかぶったコナカイガラムシが着くと排泄液で葉を汚す。
シュロ竹、観音竹 マルカイガラムシ
ハランナガカイガラムシ
枝や葉に直径1mmくらいのものが固着、ブラシで除去するとその下が白く抜けている。ナガカイガラムシは丸くなく長い。

観葉植物は清掃してから防除(殺虫剤噴霧)

 

観葉植物の場合、虫を殺す前にやることがあります。カポック、ベンジャミンでは、ひどい場合ベタベタの分泌液で葉や枝が汚れています。このままでは、気持ちが悪くて部屋におけません。この分泌液は虫が木から吸った樹液の中から、カイガラムシが必要とするアミノ酸だけを摂り、不要な成分を尻から排泄しているのだそうです。この排泄液には糖分が含まれているので甘く、葉に着けばベタベタにします。湿度、温度がある条件になるとこれに黒いカビが生えます(スス病)。必要なアミノ酸だけ吸ってくれればよいのに迷惑な話しですがカイガラムシを笑っても居れません。人間だって生存に必要以上の資源を消費し、大量の廃棄物で地球を汚しています。(規模から言えば人間の方が何兆倍も罪が重い)。この排泄液は甘いので放っておくとアリが寄ってきます。これをきれいにするには水洗します。ほんのちょっとなら雑巾で拭いても良いのですがひどければ、風呂場や屋外でシャワーをかけ洗い流す方が完全です。梅雨時なら一日屋外に出しておけばきれいになります。注意したいのは気温です。観葉植物は多くが熱帯、亜熱帯の植物ですから、寒がりで、10月中旬以後に寒風の吹く屋外で水をかけたら、木が傷んでしまいます。冬は濡れ雑巾で拭く程度にします。


 ベンジャミン、ガジュマル、ゴムなどに固着した茶色の殼をかぶったのカイガラムシは、手で取ります。これは殺虫剤をかけても体内に浸透しませんので効きません。ヤシ類の白いマルカイガラムシも同様に、腰の強い歯ブラシ、爪楊枝などを活用して取ります。コナカイガラムの場合も出来るだけ手で取れるだけとった方が確実です。カポック(シェフレラ)の場合も腰の強い歯ブラシで出来るだけ除去します。この後、カイガラムシ用殺虫剤ベニカXファインスプレー(住友化学園芸)を噴霧します。  

カイガラムシに効くとされる殺虫剤はいくつかありますが、従来の薬品は、ばしっと効く感じがしません。コナカイガラムシは殻をかぶっていませんから、退治し易いほうですが、枝の付け根、葉裏などに卵が隠れていますので殺虫剤散布は丁寧に、日にちを置いて何度か繰り返す必要があります。具体的にはスミチオン、オルトラン水和剤、アクテリック乳剤が使えるとされています。しかしこの有機燐系の殺虫剤は臭いがきつくて1日くらい外に出して置かないと部屋に入れられません。しかもアクテリック乳剤はかなり効きますが、スミチオン、オルトランはコナカイガラムシの白い成虫に直接かければ死にますが、2週間もするとまた出てきます。はっきり言えばオルトラン、スミチオンはカイガラムシに効くとはいえません。私どもでは、それに替えて有効性の登録はありませんが無臭で毒性の低いモスピラン液剤を使っています。動き回るコナカイガラムシにはかなり効きます。更によく効くのがベニカXファインスプレー(住友化学園芸)でカイガラムシにかなり効果があります。浸透移行性があるのでコナカイガラムシの根絶に効果があるのはもちろん、カポックやベンジャミンに固着した殻を持つカイガラムシにもかなり効果があります。2~3回、一週間ほど間ををあけて散布すれば根絶できます。
カイガラムシの生態一般について詳しく知りたい場合は下記の本が役立ちます。但し観葉植物に着くカイガラムシについて特別詳しい訳ではありません。
 ※参考文献:伊澤宏毅、カイガラムシーおもしろ生態とかしこい防ぎ方、農文協(2006)

2018年02月25日
観葉植物(インテリアグリーン)のポトス
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