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古くなった幸福の木の鉢は観葉植物として元のように美しく再生可能か?

盆栽に代表されるように昔からに日本で育てられてきた鉢植えの多くは、植え替えにより根の更新を行い、かなり長い年月楽しむことが出来ますが、観葉植物のように近年日本に導入された熱帯植物には植え替えても長持ちしないものがあります。


幸福の木の鉢植えは植え替え出来ない

5年以上頑張った幸福の木ドラセナマッサンゲアナ幸福の木(ドラセナ・フラグランス・マッサンゲアナ)などの観葉植物の鉢を購入し、大事に育てていても数年経てば、どうしても右の写真のようにくたびれてきます。これは手を尽くせば、最初のような観葉植物といえる姿に再生可能でしょうか?結論を言えば無理です。
 幸福の木の鉢は、長さの異なる数本の原木を組み合わせ芽を吹かせたものです。 右の写真の例では一番長い幹と一番低い幹は既に枯れています。触ってみると皮がブカブカしています。生きているのは中間の幹ですが、これも頂点から出た芽が随分と高くなり格好が悪くなっています。
カポック、シュロチクなど木本性の観葉植物の鉢は数年おきに植え替えれば、活力を取り戻しますが、幸福の木やユッカなどは植え替えても元気になりません。
それはカポックなどは植え替えにより根元から新しいシュート(新梢)が伸びて更新されるのに、幸福の木は新しいシュートが出ないからです。厳密には写真のように丸太の頂部から脇芽が出てきて、それが大きくなることはありますが、下の方が禿げ上がっていたのでは格好が悪く、観葉植物とはいえません。同じ鉢の中に数年入れておけば肥料は与えていても、微量元素の枯渇により幹は老化し、新しい脇芽も吹かなくなります。
では元気なうちに、植え替えたらどうでしょうか?それは物理的な問題で出来ません。幸福の木の10号鉢は丸太を固定するためにプラスチック製の固定枠が使われていますが、それから抜きとろうとしたら根を切ってしまいます。8号鉢以下ならプラスチック枠でなく発泡スチロールのブロックで固定されていますが、これも一度外してしまったら、元のようにしっかり固定するのは素人では至難の業です。いずれにせよ、まだ元気にしているのに根をいじったら、それによって枯らしてしまう可能性があります。
 こういう理由で、当店では幸福の木、ユッカなどは、ある程度楽しんだら、あまりみっともない状態になる前に廃棄して新しい鉢を購入されることをお勧めしています。植え替えをしたとしても培養土や活力材を購入するのもただではありません。観葉植物はペットでもありますがインテリアであることを考えれば、見切り時があります。きちんとした管理をすれば少なくとも3年は楽しめます。観葉植物の鉢を置くのはあくまで、植物から元気を貰うのが目的ですから、生きていても息絶え絶えでは元気を貰うどころではありません。


植物という生物の寿命とは何か?

お客様から古い観葉植物の鉢を「生きているから捨てるのはかわいそう」という声をよく聞きます。これは植物を動物である自分たちと混同しているところから来ています。植物と動物では個体とか寿命の概念が全く違います。動物には個体という一つの独立した生命体がありますが、植物はそれがはっきりしないのです。鉢に入れて育てるとそれを植物個体と考えがちですが、それは人為的にそういう形にされたに過ぎません。植物は例えば地下茎などで増えて行くものはどこまでが、一つの植物個体なのかはっきりしません。また接木で殖やす植物は、クローンといって親と全く同じDNAをもっていますが、それを一つの個体といえば百年でも二百年でも生きています。こういう観点から、古くなった鉢物を生きているうちに捨てても、それは人間で言えば、古くなった皮膚(垢)とか髪の毛が落ちるようなものです。犬や猫の動物ペットは齢をとっても大事にしてやらなければなりませんが、植物はそうではありません。もし幸福の木に口が利けるなら「俺の爪の垢を何でそんなに大事にしてるんだ?俺は別の場所でしっかり元気にい生きてるよ」とでもい言っているのではないでしょうか。

2018年08月18日
観葉植物(インテリアグリーン)のポトス
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