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バショウ科植物の葉はなぜ裂けやすいのか

マレーシアに植栽された旅人の木

オーガスタの展開したばかりの葉

観葉植物としてバショウ科の植物はよく利用されています。旅人の木、ストレリチア・ニコライ(オーガスタ)、ストレリチア・レギネがあります。その外、庭木のバショウ(芭蕉)や食用のバナナも同じ仲間です。これらの植物はノボリ(幟)のような大きな葉が特徴です。大きな緑の葉がみずみずしく、いかにもトロピカルな雰囲気なので観葉植物として珍重されます。
 さて、この種の植物の葉はとても裂けやすく,自然に生えているものはもちろん、温室で栽培されたものでも全く破れのないものはないといって過言ではありません.観葉植物として栽培されているものは大きくてもせいぜい高さ2m位なものですが、実は原産地で自然に成長させるとこれらの植物は旅人の木の場合10m以上にもなります。このくらい大きくなりますと葉の面積が大きいので風が当たると相当な力を受けることになり、暴風雨でもあれば、根こそぎ倒れてしまいます。そこで、これらの植物には風圧を逃がすべく、あらかじめ葉に仕掛けがしてあります。オーガスタの展開したばかりの若葉をご覧ください。中心の葉脈と直角に平行する筋が見えます。この筋は力が加わると簡単に分離します。いわばミシン目です。観葉植物で室内で栽培していると風が当たることはないので、ほとんど破れませんが、屋外ではほとんど完全に切れるべきところはすべて切れ、風にはためいています。
 冒頭に示したマレーシア(マラッカ市サンチャゴ砦)に植栽された旅人の木の枝の先端の葉をご覧ください。びりびりに破れて一見ひどい状態ですが、破れたというのは適切ではなく、短冊状になった葉は一つ一つの葉として機能しているのです。日本で屋外に植栽されるバショウの葉も同様に切れていますが、短冊状の葉が切れ目の縁から枯れ込んでいないことが分かると思います。他の植物では葉の一部が破れたら必ずそこから、水分が蒸発したり細菌が侵入しては全体を枯らしてしまいます。

千葉県市川市に植栽された芭蕉
びりびりに裂けたバショウの葉


 困ったことに、このような特徴を持つバショウ科の植物は大きな葉が観葉植物として売りなのですが、その性質上、ある程度成長したり古くなったり、湿度が低く乾燥が続くと葉にひずみが生じ、ほんのわずかな力でもピリッと裂けてしまいます。これは元々こうなるように設計されているので、いたしかたないことです。購入当初こそ裂け目は少ないのですが、いずれ裂けてくる運命にあります。

2018年02月25日
観葉植物(インテリアグリーン)のポトス
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